更年期の不眠は漢方で改善!体質別おすすめを解説

更年期の不眠は漢方で改善!体質別おすすめを解説

更年期という人生の節目には、ホルモンバランスの急激な変化に伴い、心身に様々な不調が現れることがあります。
その中でも、夜になってもなかなか寝付けない、眠りが浅いといった不眠の悩みは、日中の活動意欲を低下させるだけでなく、気分の落ち込みや不安感といった精神的な負担も増大させ、日々の生活の質を大きく損なう原因となりかねません。
こうしたつらい眠りの悩みに、漢方の視点からアプローチすることで、体の内側からバランスを整え、穏やかな眠りを取り戻す道が開けるかもしれません。

更年期の不眠に用いられる代表的な漢方薬は?

加味逍遙散(かみしょうようさん)は気滞・血虚に

加味逍遙散は、気の巡りを良くしてストレスやイライラを和らげる生薬と、血を補い巡りを改善する生薬がバランス良く配合された処方です。
特に、更年期に多く見られる、精神的な不安定さや気分の落ち込み、肩こり、冷え、ほてり、そして貧血のような症状を伴う不眠に対して効果を発揮します。
「気滞」と「血虚」の両方の体質を持つ方におすすめの代表的な漢方薬と言えるでしょう。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は血の滞りに

桂枝茯苓丸は、体内の「血」の滞り、すなわち「瘀血(おけつ)」を改善することを目的とした処方です。
瘀血が原因で、頭痛、肩こり、めまい、のぼせ、比較的体力があり、月経不順や生理痛を伴うような場合に、不眠の症状が見られる方に適しています。
血の巡りが悪いために気が逆上し、それが不眠に繋がっている状態の改善を目指します。

抑肝散(よくかんさん)は神経の高ぶりに

抑肝散は、神経の高ぶりを鎮め、イライラや落ち着きのなさを改善する作用を持つ漢方薬です。
主に、怒りっぽくなったり、感情の起伏が激しくなったりする方に用いられ、それらに伴う不眠や、神経過敏な状態を和らげます。
顔色がやや悪く、疲れやすい傾向のある方にも用いられることがあります。

自分の体質・症状に合った漢方薬を選ぶには?

体質(証)の見極めが重要である

漢方では、一人ひとりの体質や現在の症状を詳細に観察し、その状態を「証(しょう)」として判断します。
同じ「更年期による不眠」という症状であっても、その背景にある体質(例えば、体力があるかないか、冷えやすいか温まりやすいか、精神的な要因が強いか身体的な要因が強いかなど)によって、最適な漢方薬は全く異なります。
ご自身の「証」を正しく見極めることが、効果的な漢方薬選択の第一歩となります。

専門家に相談することが確実である

ご自身の体質や症状に合った正確な漢方薬を選ぶためには、漢方に詳しい薬剤師や漢方専門家といった専門家に相談することが最も確実で安全な方法です。
専門家は、問診(舌の状態や脈の状態なども含めて)を通して、ご自身の体の状態を多角的に把握し、個々の状況にきめ細かく対応した処方を選定してくれます。
これにより、効果を最大限に引き出し、不要な副作用のリスクを避けることができます。

セルフチェックはあくまで目安とする

インターネット上の情報や、簡易的な体質チェックリストなどは、ご自身の体の状態を理解するための一助にはなりますが、あくまで参考程度に留めるべきです。
これらの情報だけに基づいて自己判断で漢方薬を選ぶことは、効果が得られないばかりか、かえって体調を崩してしまう可能性も否定できません。
迷った場合は、必ず専門家のアドバイスを仰ぐようにしましょう。

 

 

まとめ

更年期における不眠は、漢方的な観点からは、気・血・腎といった体の根源的なエネルギーや物質のバランスの乱れが大きく関わっています。
気の滞りや不足、血の不足、あるいは腎の機能低下などが複合的に作用し、心身の不調から眠りを妨げることがあります。
加味逍遙散、桂枝茯苓丸、抑肝散といった代表的な漢方薬は、それぞれ異なる体質や症状に合わせて、これらのバランスを調整し、穏やかな眠りへと導くことを目指します。
しかし、ご自身の体質や症状に最も適した漢方薬を見つけるためには、自己判断に頼るのではなく、漢方に詳しい専門家に相談することが、安全かつ効果的な改善への確実な道筋となります。

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