燕窩とは|宮廷の食卓から伝わってきた、ツバメの巣の話

「ツバメの巣って、本当にあの巣なんですか」

店頭でbiencaをご説明していると、ほぼ必ずこの質問をいただきます。無理もないと思います。日本では、燕窩(えんお)という食材を目にする機会がほとんどありません。

この食材には、何百年もの間受け継がれてきた背景があります。今回は、その歴史と、どういうものかという話を書きます。

燕窩とは、アナツバメがつくる巣

燕窩は、東南アジアに生息するアナツバメという鳥が、自分の唇液を固めてつくる巣のことです。日本で見かけるツバメのように泥や藁を使わず、唇液だけで半月形の巣を組み上げます。乾くと半透明の、細い繊維が層になった状態になります。

主な産地は、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムなど。もともとは海岸の切り立った洞窟につくられたものを採取していました。崖に縄をかけて登る危険な作業で、これが燕窩を高価なものにしてきた理由のひとつです。

宮廷の食卓から、家庭の食卓へ

中国で燕窩が知られるようになったのは、明代とされています。南海交易によって持ち込まれ、やがて宮廷料理の材料として扱われるようになりました。清代の宮廷の献立記録にも、燕窩を使った料理が残されています。

面白いのは、その後の広がり方です。燕窩は宮廷だけのものにはならず、華南地方や東南アジアの華人社会で、「ハレの日のごちそう」として定着していきました。香港やシンガポールには今も燕窩専門の店があり、詰め合わせのギフトが並んでいます。貼り紙には産地と形状の等級が書かれていて、ちょうど日本で茶葉や乾物を選ぶときの感覚に近いです。

つまり燕窩は、特別なものでありながら、同時に食卓の延長線にある食材として扱われてきた。この位置づけは、私たちがこの素材をどうご案内するかにも関わっています。

洞燕と屋燕、そして形状の等級

燕窩には、採取場所による大きな分け方があります。

洞燕(どうえん) 屋燕(おくえん)
場所 海岸の自然洞窟 人が建てた建物(燕屋)
採取 崖を登る、困難 管理された環境で回収
特徴 鉱物質や羽毛の混入が多い 比較的均質で清潔

「天然のものが良い」と思われがちですが、燕窩に関しては必ずしもそうとは限りません。洞燕は洞窟の壁の成分や羽毛が混ざりやすく、選別に手間がかかります。現在流通しているものの多くは屋燕で、これはアナツバメが自然に飛来して巣をかける建物を用意する、という方式です。鳥に館を与えるのではなく、巣をかけたあとで回収します。

形状による分け方もあります。巣の形がそのまま残ったカップ状のものを盞(さん)、細長く崩れたものを条(じょう)、細かく砕けたものを碎(さい)と呼びます。価格はこの順で下がりますが、これは見た目の整い方による差であって、素材そのものが別物になるわけではありません。ギフトなら盞、日々口にするなら条や碎、という選び方が現地でも一般的です。

含まれる成分のこと

燕窩を分析すると、タンパク質と糖が結合した糖タンパク質が主な構成であることが分かっています。なかでもシアル酸(N-アセチルノイラミン酸)を含むことが知られており、この成分の含有量が多い食材として研究の対象になってきました。

ただし、ここははっきり書いておきます。燕窩は食品であって医薬品ではありません。成分の名前が分かっていることと、体に何かをもたらすと言えることは、まったく別の話です。私たちは薬剤師ですから、この線引きを曖昧にすることはしません。

工程で決まること

燕窩の品質を左右するのは、実は採取後の工程です。

巣には羽毛や細かい異物が必ず混ざります。これを取り除く作業は、今でもピンセットを使った手作業で行われます。この手間を省くために、漂白して見た目を整えるというやり方も存在します。真っ白で、あまりにも美しすぎる燕窩には注意が必要だと、現地でも言われています。

本来の燕窩は、真っ白ではなく、ややクリームがかった色をしています。少しだけ色ムラがあることのほうが、むしろ自然です。

当店での取り扱いについて

ときわ漢方薬局では、燕窩を配合したbienca(ビエンカ)シリーズを取り扱っています。製造しているのは株式会社美津村(ミツムラ)です。

四つのタイプがあり、違いは剤型と取り入れ方にあります。

  • Finest Drink:飲み切りタイプ。節目やギフトに選ばれることが多いです
  • Jelly Stick:ゼリー状で、水なしで口にできます
  • Recovery Soft Capsule:カプセル型。味や香りが苦手な方向け
  • SNE Powder:粉末を飲み物や料理に混ぜて使えます

どれを選ぶかは、生活のリズムによって変わります。毎朝の時間がとれる方と、持ち歩いて外で口にする方では、向いている形が違います。

選ぶということ

燕窩は安い食材ではありません。だからこそ、何を基準に選ぶのかをご自分で判断できる状態でお買い求めいただきたいと思っています。産地、工程、剤型。この記事がその判断材料になれば幸いです。

扱う素材は厳選し、納得のいくものだけを置く——これは初代から変わらない姿勢です。

ご自身の生活との相性が気になる場合は、お求めになる前に一度ご相談ください。お一人ずつ、しっかりお時間をいただいて伺います。

bienca Finest Drink の商品ページを見る
bienca Jelly Stick の商品ページを見る
bienca Recovery Soft Capsule の商品ページを見る
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ときわ漢方薬局
神奈川県藤沢市鵠沼石上1-8-1 安斉第一ビル1F
TEL: 0466-22-5514
営業時間:10:00〜19:00(日曜祝日・第1/3水曜定休)

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